仕事の都合や愛着から、戸籍の姓が変わっても、これまでの姓で日常生活を送りたいのは珍しくない話。
旧姓使用や旧姓併記できる書類もありますが、住民票やマイナンバーカードといった本人確認書類に口座名義の姓が記載されていれば、銀行口座も名義変更せずに問題なく使えるのでしょうか?
気になったので、いくつかの銀行に問い合わせて口座名義の変更方法や旧姓使用の可否を聞いてみました。
この記事では、その内容についてまとめていきます。
銀行口座は戸籍名をベースにしている
銀行口座は通称ではなく、戸籍に記載されている氏名をベースに管理されています。
住民票やマイナンバーカード、運転免許証などの旧姓併記の動きが進んでいますが、銀行業界では未だ旧姓使用が浸透していないのが現状です。
旧姓名義(現在の戸籍氏名とは異なる名前)の口座使用を認めている銀行も増加中ではあります。
結婚後も旧姓を使いたい人は、こちらも併せてチェック↓
戸籍名と違う名義口座を使うことによる問題
結婚などで姓が変わり、戸籍名と銀行口座の名義が異なる状況になったとき、すぐに口座を使えなくなるわけではありません。
しかし、使っているうちに以下のような問題が生じる可能性があります。
- うまく振込や引き落としがされない
- 銀行窓口手続きがスムーズにいかなくなる
- 不正利用の補償を受けられない
うまく振込や引き落としがされない
銀行口座は、給与や補助金 の振込、クレジットカードや公共料金の引き落としなど、各種サービスと繋がっています。
その繋がっている先のサービス登録名と口座名義が異なっていると、本人の口座であると判断されず、正常に処理されない可能性があります。
特に、国民健康保険料の引き落としや税金関係の送金処理などは、住民票や戸籍を参照されます。
トラブルになる前に、繋がっているサービスが取る対応を確認しておきましょう。
銀行窓口手続きがスムーズにいかなくなる
大きな金額を扱うときなど、ATMではなく銀行窓口に行くことがあります。
戸籍名と口座名義が異なると、窓口での本人確認に時間がかかったり、本人確認を受理されずサービスを受けられなかったりする可能性があるのです。
「運転免許証に旧姓併記しているから問題ない!」と思っている人も安心できません。
中には、併記されているだけでは本人確認書類として不十分と判断されることも。
また、転居時の住所変更といった各種手続きもスムーズにいかず、必要以上に時間がかかってしまうことがあるので注意が必要です。
不正利用の補償を受けられない
キャッシュカードや通帳を紛失したり、知らないうちに不正利用されたり、といったリスクは誰にでも起こり得ます。
窓口手続きがスムーズにいかないのと同様、戸籍名と口座名義が異なっていると、本人確認ができないおそれがあります。
その結果、受けられるはずの補償や救済措置が受けられず、大きな損失になることも考えられます。
実際の各銀行の対応
今回、いくつかの銀行に電話で問い合わせてみました。
問い合わせた内容は以下の通り。
- 既に当該銀行の口座を持っている
- 戸籍の姓が変化するが、現在の口座名義のまま使いたい
- 使えるのであればどのような手続きが必要か
三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行では、戸籍名が変わったら口座名義も変更してください、との案内でした。
電話口の担当者さんも何度か電話を保留にしながら確認し、方法がないか考えてくれたのですが、現時点では戸籍と異なる名義は認めていないとのことでした。
ただし、口座が凍結される・振込などが一切できなくなる、というわけではなく、あくまで「各種手続きがスムーズにいかなくなるから、早めに変更しておいてください」とのことでした。
みずほ銀行
みずほ銀行の回答では、旧姓名義でも口座を使い続けることは可能とのことでした。
ただし旧姓口座を持っている状態で、新姓口座を別に作ることはできないことを念押しされました。
手続きはなく、旧姓で持っている口座をそのまま使ってください、と言われました。
webサイトには「届け出が必要」と記載があったのでそれについても確認しましたが、何もしなくて良いとのことでした。
名義変更せずに銀行口座を維持したい人には安心ですね。
楽天銀行
楽天銀行は、名義変更せずに口座を使うことは可能との回答です。
ただし万が一の際に補償ができないので変更をお願いしています、とのことでした。
確認したところwebサイトには「お電話にて手続きを承ります」と記載があるので、担当者によって回答が異なる可能性があります。
webサイトに明文化されている方が正しそうな感じはしますね。
help-personal.rakuten-bank.net
トラブル回避のためにも旧姓口座名義については確認しよう
いくつかの銀行に問い合わせたりwebサイトを確認したりしてみたところ、対応はさまざまでした。
旧姓利用がまだ進んでいないこともあり、窓口担当者の中でも認識のズレがあるのかもしれません。
銀行口座はお金を扱う重要なもので、間違った使い方をしてしまうと手続きが煩雑になるだけではなく、不利益を被る可能性もあります。
戸籍名と口座名義が異なっても使い続けることができるのかは、一度取引のある銀行支店に確認しておくと安心です。
自分が望む名義で使えないなら解約しておこうかな...という場合向けに、使わない口座の解約についてまとめた記事もあります↓